乳がんの5〜10%が遺伝性です。つまりほとんどは遺伝ではありません。
診察でも遺伝性のことについて質問を受けることが多いのでまとめてみました。
- 母や姉妹など「近い家族」に乳がんや卵巣がんの人がいる場合
- 若い年齢(40歳未満)で乳がんになった家族がいる場合
- 複数の家族に乳がんや卵巣がんがある場合
上記の場合、遺伝性乳がんの可能性は高くなります。
遺伝性乳がんは正式には遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)と言って BRCA1とBRCA2 遺伝子の変化が関与します。HBOCかどうかは血液検査で診断することができます。ここで1つ大切なことですが遺伝子に変異があったとしても必ず乳がん、卵巣がんになるとは限りません。
生涯で乳がんもしくは卵巣がんを発症する確率です。
日本人一般 | BRCA1陽性 | BRCA2陽性 | |
---|---|---|---|
乳がん | 10.60% | 46〜87% | 38〜84% |
卵巣がん | 1.60% | 39〜63% | 16.5〜27% |
次に検査のおおまかな流れについて説明します
1.遺伝カウンセリング
自費1〜2万円程度
検査のメリット・デメリットや結果への対応を相談
2.遺伝子検査
自費25〜28万円程度(施設により差あり)
*HBOC検査費は助成制度があります。詳しくは遺伝カウンセリング受けた際に確認してください。
3.結果
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陽性(遺伝子に変化あり)であれば
・30歳前後からMRI・マンモ・エコーによるサーベイランス
・希望により予防的手術も選択肢
・ご希望や状況に応じて家族への情報提供をサポート -
陰性(遺伝子に変化なし)の場合
・通常の乳がん検診を年齢に応じて受ける -
VUS(意義不明のバリアント)
・現時点では遺伝性とは確定できませんが将来はっきりする可能性はあります。
・既往歴や家族歴を踏まえて通常の乳がん検診を行います。
結果に応じて対応が変わってきます。
家族歴のある方はまずはきちんと乳がん検診を受けることを心がけましょう。