2025年7月11日~12日、「第33回日本乳癌学会学術総会」に参加してきました。
乳がんに関する最新の研究や診療の方向性について議論が行われ、とても学びの多い学会となりました。また1年ぶりお会いできる先生も多く、おしゃべりも弾んで楽しい会でした。
多くの発表や講演の中で、興味深かったものを紹介します。
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乳がん検診の現状とリスク層別化検診への取り組み 〜アジアと欧米の違い〜
アジアと欧米では乳がん検診の体制や普及状況に違いがあり、特に欧米では個々のリスク(遺伝的背景や家族歴)に応じて検診方法を調整する「リスク層別化検診」が進んでいます。今後、日本でもこうした個別化されたアプローチが求められると感じました。 -
遺伝性乳がんとゲノム医療の進展
BRCA1/2などの遺伝子異常が関与する遺伝性乳がんの検査は一部保険適応となり、診療体制が確立してきています。加えて、がんのゲノム情報に基づいて治療を選択する「ゲノム医療」も進歩しており、個々の患者さんに合った個別化医療が可能になりつつあることを実感しました。 -
AI、ChatGTPやSNSを用いた乳癌診療の効率化はとても興味深い内容でした。
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乳がん手術における低侵襲治療
従来の乳房温存手術に加えて、さらに低侵襲な選択肢として「ラジオ波焼灼療法」や「凍結療法」などの非切除治療もかなり症例が集まってデータが出ているように思います。今後さらに注目されていくと思われます。 -
若年性乳がんへの包括的アプローチ
若年発症の乳がんでは、進行の速さや遺伝的背景、妊娠・出産への影響など、様々な課題が伴います。診療では、医学的な対応だけでなく、将来への不安や生活設計への支援など、心のケアを含めた多角的なサポートが重要だと改めて感じました。
それぞれのテーマについてはこのブログで少しずつ詳しく説明していきたいと思います。
私自身はホルモン感受性早期乳癌の患者さんが術後再発予測や抗がん剤の治療効果を判定するツールとして用いられるOncotype DXの聖マリアンナ医科大学における過去10年のデータをまとめ、臨床的有効性について検討したものをポスター発表しました。
今回得られた知見をこれからの診療に活かしていきたいと考えています。
今後も引き続き、最新の知識をアップデートし、より良い医療を提供できるよう努めて参ります。